2007年問題と経営について考える①

最初は、金融業に限って考えていたが、その話も挟んでいきたい。
まず、日本国民の人口比を見ると、「団塊の世代」という55〜62歳(定義が統一されてない)の年代が一番多いのだが、次に30後半から40前半が多い。
そして、何故今年で退職する年代の人たちが多く採用されてきたのだろうか。
毎年一定の雇用者数を保っていればこのような事態にはならなかったのではないだろうか。
ここで金融業、特に証券会社のマーケット部門や投資銀行部門を例にして考えてみる。
その期の収益率が先に決められ、マイナス値だった場合はそれに帳尻を合わせる形でクビを切られることがあるようだ。(もちろん結果論であって、その過程にはコスト削減努力をしている)
先生がよく言うが、「バブル期に採用した人たちを解雇するのは大変だった」と。
一方、製造業で考えてみると、技術の伝承が不可欠であることは間違えない。なら、なぜ一定の雇用者を毎年雇い続けなかったのだろうか。
これは経営の責任である。
そもそも企業とは、ゴーイング・コンサーンが大前提である。
投資家や債権者、経営者、従業員、それぞれ、利益を考えるとき明日潰れる可能性はないと判断するから投資したり働いたりするのだ。
その大前提を揺るがしかねない不安定な経営をした責任はあると思う。
これはアメリカ型の経営方針にもっとも不満に思うところであり、不安定な構造を作るのは投資環境を整備する上でもよろしくない。
当然、リストラクチャリングの必要性は認める。しかし、それは最後の最後で行うべきことであって、雇用者の一定確保と向上に向けて企業経営をすることが経営者のもっとも根底にあるべきものではないだろうか。
財務担当者は、その意見とは別だろうが、シンプルな企業価値向上と社会的意義を考えたら当然だと思う。
中小企業の財務レベルで考えると、毎年一定数の雇用を確保するのは難しいかもしれない。
ならば、数年に分けてでも年代の分散をするべきだと考える。
中小企業は、企業全体の98%におよぶが、その98%のなかでどれだけ効果的に技術伝承が行われているのだろうか。
技術大国と言われる日本人は、それに胡坐をかいてるように見えてしょうがない。もっと構造的問題を解決しなければ、日本経済の未来はないと感じる。
・・・この話は明日も続く